""助けてあげたのにお礼の一言もないって人としてどうなの?"



あの時の言葉が自然とリピートされる。



うぅ...確かにそうだよね。よし、今度会ったらちゃんとお礼言わなきゃ。おんなじ学校だし、いつかは会えるよね。いつかは、、



―――ゾクッ。



えっ…?



な、なんだろう。いま一瞬だけど、背筋が凍りつくような視線と威圧感を感じたような、、



ううん、きっと気のせいだ。だれもわたしになんか目を向けるわけないし。



そう思いながら顔を横に振り、気のせい気のせいと唱えていると、夏希がこちらを向いて深刻な顔つきで訪ねてきた。



「どうしたの?急に頭なんか振って、具合いでも悪いの?」



「な、なんでもないよ!ちょっと寒気がしただけ…」



「そう。ならいいけど」



夏希はやさしいなあ。小さなときから夏希はわたしにとってお姉ちゃんみたいな存在だった。



黒髪のロングにゆるくパーマがかかっていて、きれいな顔立ちの彼女をより大人っぽく引き立てている。