見上げると、そこには数え切れないほどの桜の花びらが空を泳いでいた。



通り慣れない道。おしゃれなお店や大きな公園など、一歩隣町へ来ただけでもこんなに景色が変わるのか。



高校入学初日ということもあり、浮かれてなんとなくふわふわした気持ちで道を歩いていた。



ふと、腕時計をみる。



え…?



見間違いかなあと、もう一度落ち着いて腕時計をみた。



み、見間違いじゃない…。わ、わああああああ!もうこんな時間?!遅刻しちゃうっ!



登校初日から遅刻しそうなんて…のんびりしすぎた…



涙目になりながら、全速力で道を駆け抜ける。



―――ドンッ!