しばらくの沈黙の後…山科は顔をあげた…。涙か流れたのか…頬に白く線がついていた。
そして、話が山科と、私の口から紡がれていく。

「『俺は…あなたを愛し…愛されたいと願います。』と言いました。」

え…。
「女は、毎日…神に祈ります。『…息子に両親をお与えください。』」

すると、山科は、急に私を抱き締めた。
「なぁ…夏海。」
「…はい。」
「…俺が正式に息子の父親になって、女の…夏海の夫になってもいいか?」

私の答えは…決まった。
「…はい。」

すると、山科の腕がゆっくり緩んで…体は少し離された。

「…夏海、キスしていい?」
…コイツ…私の幸せな余韻をいつも…いっつも潰しにかかる!!

「ダメ!!ってか…やだ!!」

山科は、ふてくされた顔をして…そっぽを向いた…。

私がホッと息をついて前を向いたそのとき…
チュッ…
私の頬に…柔らかいものが触れた。

「今…き、キス…しました!?」
「フッ、ケチるからだろ。」


山科は、私の頭を撫でてから、トラックをまた走らせた。