そんなモヤモヤした気持ちを抱えていたある日…事件が起こった…。

その日は朝から、体育があった。
俺は、いつも通りに片瀬の頭に鞄をぶつけた。
…ちっ…、また何も返してくれないのかよ…。

片瀬が去ったあと…俺は宇治の眼鏡を奪ってやった…。

「おい、返せよ~。」
「フンッ…誰が返すか!!」

ストレス解消完了。あー…スッキリした…。


授業が始まって…しばらくして…ふと、片瀬の方を見た。
って…真っ青じゃねえか…。フラフラしやがって…。

すると…片瀬の周りに女子が集まりだして、そのまま片瀬は壁に滑り落ちるように座った。

俺は…まだ蓋を開けていないペットボトルとタオルをもって、片瀬のところに向かった…。

片瀬は…ゆっくり顔をあげて俺の顔を見た…けど、コイツが発したのは…俺の名前ではなかった…。
「ありがとう…宇治くん!!」

…最悪…。
俺は…うなずくしかできなかった…。