急に宇治が俺の席にやって来た。
「秋羅!!お前に、頼みがあるんだけど!!」
「何だ?」

すると…コイツは思いもよらないことを口にした。
「…片瀬を苛めてくんない?」
は?
「お前…何言ってんの?」
「だってさ~…アイツうぜぇじゃん!!喋るときはちーさい声で話すからよく聞こえねえしさ~。それに…アイツ…俺の事好きらしいじゃん?」

コイツ…言いたいこと好き勝手言ってくれてるな…!!
「断る。」
「何で?お前には断るって選択肢なんてないのに…。」
「は?」

「お前がやらないなら…俺がやるよ?良いのか?」
…そうだよ…やりたきゃ…自分ですれば…。
そう思ってたはずなのに…俺の口からは…逆の言葉が飛び出していた。

「なら、俺がやる…。」
すると…宇治は満足そうにククッと笑った。

「じゃ…やりたいところまでやれよ~♪」
気安く語尾に音符なんか付けやがって…。

次の日から…俺は、片瀬を苛め始めた。
その度に、宇治がフォローを入れる…。
そして…片瀬は俺から離れていく…。

…分かってたはずなのに…悔しかった…。片瀬に全てを打ち明けて…楽になりたかった…。でも…そんなことしたら…片瀬は今の俺以上に…苦しむことになる…。それだけは避けたかった…。