「お前…何隠してんだよ。男同士なんだし…隠すことじゃねえだろ!!」
山科はもう片方の衿も掴んで、私の顔を自分の顔に近づけた。
「やめて…ください…!!」

「何嫌がってんだよ!!先輩にそんな対応しても良いのか?おい!!」
私は必死に抵抗したんだけど…やっぱり…男の人の力は強いかった。

ビリリッ!!
ファスナーごと、まぁ見事に破かれてしまった。
私は、女だと服の上でわからないように…ブラの上にコルセットで押さえつけてあった。これが露になっちゃえば…言い訳が効くわけがない…。

「お前…女…なのか?」
山科はよっぽど驚いたみたいで…真っ赤になって口をパクパクさせていた。

結局バレたか…。最悪。

ペシッ
私は、山科の手が緩んだ隙に衿から振り払った…。

「ふんッ!!気がつかなかったんですか?先輩のくせに…次期社長のくせに、人を見る目もないんですね!!」
これだけは言いたかったんだよ!!あー、スッキリ!!

案の定…山科はキレた。いちいち短気なんだよ…こいつは!!
「なんだと?お前こそ…女がこの工事現場になんて、バカなんじゃねえのか?」

バカで悪かったですねーだ!!!!

私が…返す言葉を探して黙ってしまっていると…山科は…ジャンパーに手を伸ばした。

「…襲うなら…せめて避妊くらいしてよ。」
「…は?」
私が…山科に聞こえないように言った言葉を…山科は聞き逃してはくれなかった…この地獄耳!!!!

「だから…人の気も知らないで好き勝手にするなら…女は抵抗もできないからしないけど、避妊くらいしないと…苦しむ人がいるってこと!!」

はぁ…言っちゃった…。
これじゃ…八つ当たりだし…仕事だって…続けられなくなるかもしれないのに…。

言ってしまったショックとこれからのことへの不安で、今にも押し潰されそうになってしまった。