私は、今、更衣室の中にいる。工事現場の準備のためも兼ねて、いつもより早く来て男裝に着替えていた。

その時…私は、音楽を聞きながら着替えていた…のが、まずかった。あまりに油断をしすぎていた。

更衣室のドアが開いたことに気が付かなかった。

ガタッ
「は!!?…」
ビクゥッ

私は慌てて音楽を切った。
ヤバイ…上着着なきゃ!!バレる!!

私は、背中を向けたまま上着を鞄から取り出した。

「夏樹…君?」
あ、この声は…。
「宇治先輩ですか?」
「うん、おはよ(ニコ)。今日は早いんだな~。」

あれ?…バレてない!?
ラッキー!!

「あ、はい。山科先輩と泊まりの工事みたいで。」

チッ
「そうなんだ~。アイツ、性格キツいけど…頑張れよ!!」

今、舌打ちが聞こえた気が…気のせい…だよね?

ガチャッ…バン!!
「おう!二人ともはえーな!!」
「おはよ…、お前が遅いんだろ~。後輩に荷物の整理全部任せて!!」

いや、自分で勝手にしてたんだけど…、まさかこんなに早く終わるとも思ってなかったな…。私、意外と仕事できるかも?

私は、うつむきながら口許が緩んでしまった。

「…おい!!!!お前…何、人に悪者押し付けてんだよ!!最低だな!!お前…。」

は、はぁ?
やっぱり最悪だ…。