とにかく、来客に気付いていないのなら役者さん達の準備は整っていない。大道具や小道具のセッティングもできてなければ、劇的な演出に欠かせないスポットライトもない。そんなんじゃハプニングどころかプチサプライズだってできてないに決まっている。
 あんまり手の込んだことしなくていいけどなあ。今なら100円クラッカー1つで余裕にリアクションを取れる。費用は私もちで。
 あっ!入場料!
 手持ちには5円玉1枚のみ.....駄菓子屋なら優しいおばあちゃんの手引きで活躍してくれるだろうが、レジャーランドではそんな心の広い方はいない。現代の若者はマネーに厳しい。
 柑崎陽子、名も知らない場所で初の犯罪!?あ~~でも、気絶してたし不可抗力に入れてくれるか?
 まさか金銭問題という意外な危機に直面し頭を抱える羽目になるなんて..........
 
 
バンッ!バンッ!ドッカーーン!
 

「どぅわっ!?」
 急に発せられたクラッカーとは比べものにならないほどの爆発音。
 ついにイベントが始まったのかと飛び上がって下に向けていた目線を前に向けると、さっきまで何も見えなかった道の果ての先に、村らしきものが見えた。
 悶々と悩んでいるうちにいつの間にか、かなりの距離を進んでいたんだろう。
 村は見えたが、爆発音の所在が分からない。
 じっと目をこらそうとすると
 

ドッカーーーーーーーーーーン!!
 

 さっきよりも大きい音と共に炎があがった。
 ただ事ではない。もしかしたらパーク内で事故が起こったのかもしれない。
 50メートル8秒の脚で走った。短距離より持久走が得意な私だが、グラウンドのような地面ではない道を走るのはかなりきつい。
 どうにか村にたどり着き、息を整え顔を上げると..........