心の中で慌てふためいていると、彼らはとっくに移動を開始していた。もうこうなれば
 「お前らちょと待てーーー!!」
 「「「ああ?」」」
 「お前ら、さっきから黙って見ていれば1人相手に3人で寄ってたかって!本を取り上げるなんて子供じみたイジメだけじゃなく、カツアゲまでしようとすんのか!おまけに別の場所に連れて行こうとするなんて、留まることを知らないのもいい加減にしろ!」
 「誰かと思えば、同高の陽古じゃねえか?」
 「それ聞いてもう3ヶ月......」
 「うっせぇー!女がしゃしゃり出てくんじゃねえよ!学校でシメんぞ!」
 そう、私はこいつらと同じ高校。制服模様をみれば一目瞭然。自分でもいうのも何だが、私の通う高校は普通のランクより少し高い。だから、いくら向こうが制服を着崩していようが、タバコ宜しく口から棒つきキャンディーを出していようが、「無国籍のくせに!」とか、「頭悪そうなクセに!」というセリフは使えない。だって実際は頭そこそこいいんだから!
 誰か突っ込んでくれ。どうしてそんなヤツらがこんなコトしているのか!
 「やれるもんならやって、じゃなくて今そんなこと聞いてんじゃ....て、おい!」
 「悪い子猫にはお仕置きしないとな。」
 「おとなしくおねんねしてろよ。」
 いきなり男BCが私の両腕を掴み向かった先は、なんと只今絶賛工事中の穴!それもかなりデカい。2メートルは余裕にある。