まあ、別にいいか。今ここででしゃばって出ていっても軽くあしらわれるか、偽善者だとかで馬鹿にされるかのどちらかだ。そもそも、追い詰められている奴は、一度も会ったこともない赤の他人。私が助ける理由が無い。それに、私は女だ。やっぱり、こういう場面は男が出て行かないと締まらない。いいじゃんか、このまま帰っちゃえば。そういうことならさ~てと、帰りま
 「しょっk8$p6k!?」
 鈍い音が2連続。myヘッドにクリティカルヒットした音と、地面に虚しく落ちる音.....頭上には星とヒヨコが仲良くダンシング......
 目線を戻せばなんということだ!奴らは本を投げ捨て、1度壊れた予想であるハズのカツアゲを実行しようとしているではないか!おまけにイジメられている男子高校生、略してイジダンが工事現場の巨大な穴にじりじりとおいつめられている。 
 隅っこで縮こまっていた何かが切れた。
 「おい...... 」
 「君たち、何やってるんだ?」
 15年間溜めつづけてきた勇気を爆発させようとカウントダウン1秒前の所で、工事の関係者のおじさんのちょっと待ったコール。そりゃないよオジサ~~ン!
 男A「すみません、ちょっと話し込んじゃって。(ニコッ)」
 男B「今すぐどきます。(ニコッ)」
 男C「本当、すみません。さあ、移動しようぜ。(ニコッ)」
 なんて切り替えの早いこと......不良三人組からマジメキャラに変身。非の打ち所がない。イジダンを逃がさないよう、ガッチリ肩を掴んでいる所を除けば。
 ってちょっと待て。今の話からすると、この場所よりももっと危険な所に連れて行くんじゃ。人気のない公園とか、路地とか、はたまたご婦人用公衆トイレの個室の中とか!まずい!非常にまずい!