ごめんなさい母さん、父さん。私は2人みたいに冷静に理屈で考えられるほど頭ができていない。
 「燃やす壊す痛めつけるの悪行三昧のあんたらが、生きる意味だの価値だのよく言えたもんだな。やっていいことと悪いことの区別もできないあんたにこそ、お母さんに教えてもらわなかったのかと聴きたいね!一番呆れ果てたのは理由だ。自分達よりもスコアが高いからって、逆ギレよし、暴言よし、傷つけてよし!?いい大人が小学生でも言わない無茶苦茶な理屈を、当たり前だと開き直ってるあんたらのほうがよっぽど価値が無いと思うね!」
 翼があるか無いか以外で、天使もどきと倒れている人達の違いを答えろと言われれば言葉につまる。そんな私が口を出す権利なんてないかもしれない。
 だけど力の大きさや能力の違いだけで、人の
存在価値を勝手に決められぼろぼろにされるなんて冗談じゃない。
 急な私の反撃にハトが豆鉄砲を食らったような顔をした説も天(説明した天使もどき)だったが、一気に茹でダコへと変貌した。
 「あまり調子に乗るな!クズどもが!もういい。そこの小僧と共に死ね!」
 「この子の名前は小僧じゃない。ブライドだ!」
 ここで初めて震えを止めて私を仰視した。目が飛び出るんじゃないかと心配したくなる程、大きくまん丸した目で。

 大丈夫。君は生きていいんだよ。自分の命を諦める必要なんてない。胸を張って堂々とやりたいことをやって、いろんなことに興味を持ち目を輝かして。だって君は、君っていう欠けちゃいけないこの世界の大切なメンバーの1人なんだから。

 天使もどき達の手に例の炎玉が形成される。さっきは運良くブライドと一緒にかわせたけど今度はそうはいかない。流石にこの数じゃ逃げ回っても数打てば的に当たるの法則にのっとってthe・end。
 それに、ブライドは足を怪我している。置いて逃げるわけには..........



陽子、危ない目に遭いそうになったら逃げなさい。何が遭ったって自分の命のほうが大事に決まってるんだから。


 駄目なんだって、私は理屈で動けない。理想主義者だと馬鹿にされようとこれが私の考え方だ。
 ああ、炎がさっきよりも大きくなってる。もう覚悟を決めた方がよさそうだ。でも勘違いしないで欲しい。覚悟を決めるだけであきらめはしない。私の辞書に存在する最重要トップクラスの言葉
       ”あきらめない”
 「『うて!』」
 焦げ臭い空気が......そして場外から矢がいきなり飛んできた。
 まさか、全然あてにしていなかった救世主がやってきたのか!?
 だが、そんなことを考えている私をおもんばかってファイヤーボール達が止まってくれるはずもなく、襲いかかってきた。
 平和ボケした日本ではそうそう味わうことはないだろう衝撃を受けて吹っ飛ばされた。
 デジャヴ?と思わせるように白く、燃える村が霞んでいく。かろうじて見えたのは、雨の如く降り続ける土と火の粉。そして、茶色がめだった黒い影だった..........