紛争
ニュースで何度も見た。
道路は自動車ではなく戦車が走り、カバンを持ったスーツ姿のサラリーマンではなく、銃を持った迷彩柄の軍服をきた軍人が闊歩している。
銃弾が飛び交う中、母親が子供を守ろうと抱えながら物影で丸くなり、私は親に大変だなと画面を前に呑気に会話を進める。
思えば反吐が出る行為だが、今目にしている光景はそんな事を考えられないほど恐ろしく、残酷なものだった。
背中に白い翼がついた者が、何人も空を舞う。それだけを聞けば、天使じゃんと誰しも思うかもしれない。だけど、それは違う。
悪魔
ある者は手から炎を出し村を焼き、ある者は剣をデタラメに振り回していた。
本来なら博物館で、人口の光を浴びながら錆びた姿を見せているはずの剣。
だが彼らの持つ剣は、炎の光によって鉄の独特な光を放ち、血なのだとはっきりと分かる紅い液体が数滴垂れていた。
翼に飛び散った斑点は酸化したのか黒くなり、まるで悪魔の黒い翼と化している。
少し目線を動かせば必ず1人、翼のないごく普通の人達が悶絶していた。
全体的な血の量は少なかったが、辺りでかすかに漂うリアルな鉄臭さに耐えられず吐き気がこみ上げてきた。



