「失ったの… 大切なものを 私のせいで…」


葵は独り言のように呟いた


「大切なもの?」


「私には幼馴染みがいたの 幼稚園からずっと一緒でさ いつも近くにいて一緒にいるのが当たり前だった」


葵はそのときを思い出すように話し始めた


「中2のときやっと気付いたの 龍(りゅう)が好きだって 私は勇気を出して告白した 幼馴染みの関係が壊れてもいい ただ気持ちを伝えたかった」


葵は窓から空を見上げた


「それで龍も同じ気持ちだって知って嬉しかった 幸せな毎日が続くんだろうって思ってた けどそれは大きな間違いだったんだ あの日もこんな空だった」