涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜





ドアを開けると


「おはよ、夏希。」


マフラーをグルグル巻にして、ダッフルコートで指を隠す秋山くん。

はい、可愛いです。


「おはよ、秋山くん。」

「もう準備出来た?」

「出来たよ。
そうだ、秋山くん、ご飯食べた?」


時間稼ぎ、なのかもしれない。

不自然に持ちかけた話に、


「…食べてない」


と、照れ臭そうに目線をそらす秋山くんの手に、さっき作ったおにぎりを渡す。