涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜






「夏希…。」


あたしの名前を呼びながら、ふわりと頭を撫でた秋山君は


「手術、終わったよ。」


だから、と続けて


「泣いてもいいよ。
我慢しなくてもいいよ。」


そう言って、あたしを抱き締めた。

秋山君には、なんでもお見通しだ。

泣くことを我慢していたこととか、怖くてここで目を瞑っていたこととか。


「あきっ…やま、く…っ、」


秋山君にしがみつくように腕を回して、


「ん。」


ただ優しく安心するように背中をさすってくれていた。

優しくて優しくて。

だけど…儚い。