涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜





「夏希。
酷なことを言ってるっていうのは重々承知だ。
だけど。」


これは俺が決めていいことじゃないから、と切なげに瞳を揺らした。

耳を塞いでいた手を、ゆっくりと離す。

…何もしないで後悔するのか、あたしはまた。

それなら…。


「行く、よ。」


何かをして後悔した方がきっといい。

何もしないで後悔し続けているあたしは、多分何かをしても後悔する。

けれど、人生ってそういうものだし、後悔せずに生きる方が、きっとずっと難しいから。


…そう考えて、秋山君とあたしは、怜と鞠さんのいる病院に来て、現在にいたる。