あたしがそちらに目をつける前に、あたしの横を人混みをかき分けながら、通り抜けて行った人がいて。 「鞠っ!!」 それは、他の誰でもない…、秋山君、で。 「ちい…くんっ、…!!」 見たくなかった。 聞きたくなかった。 "まり"さんと"れい"くんという人物が、お互いの幼なじみだということを信じたくなかった。 だって、信じてしまえば… 「怜くんがッ…ちいくんっ…怜くん、があ…ッ!!」 そこに血だらけで倒れているヒトが、あたしの幼なじみだってことになってしまうから。