涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜





驚いた声で、秋山君があたしの名前を叫ぶように呼ぶけれど、振り向かなかった。

ただ…。

あの中心にいるのが、怜じゃないと分かれば、それだけでよかった。

やじうまをぬけて、その中心に目を向ける。


「あずさっ…!!
あずさ!!…っ、あずさ!!」


そこには、怜じゃない、女の子が血だらけで倒れていて。

…その子には悪いけど、安心、してしまった。

だけど、それは


「助けて!!
誰か…っ、誰か怜くんを助けて…っ!!」


ほんの少し離れたところで、そう叫ぶ女の子の声によって壊された。