待ち合わせ、5分前。
待ち合わせ場所には
既に秋山君はいて
走ってきたあたしに気付くと
ふわりと笑った。
「ごめん、遅れて!!」
「遅れてないよ。
まだ、5分前。」
「でも、待ってたでしょ?」
「男なら当たり前でしょー?」
それでも何と無く
悪い気がして
「じゃあ、なんかお礼する!!」
と言うと
「んー、じゃあ、俺よりも待ち合わせ早く来ないでね。」
「それ、いつも言うけど、あたしより遅く来たことないでしょ、秋山君。」
「当たり前~。」
ゆるゆる~としながらも
さりげなく手を繋いで
妖艶に微笑む秋山君に
ため息を小さくついて
だけど内心嬉しくて。
…そんなことを思うあたしに
罰が当たったのかもしれない。

