「手、出されてもいいよ。」


ふと思いついた言葉の意味を、理解していないわけじゃない。

むしろ、はっきり分かってる。


「このままだと、あたし、一生誰とも付き合えないかもしれないし。」


邪魔してしまったのは、あたしだ。

寂しさを埋めるために。

鞠さんを傷つけないために。

守るために、他の女の子と寝ているのだと知っていたのに。


「っ…」


なんで、電話をしてしまったんだろう。

なんで、美羽に電話をしなかったのだろう。

どうして、今日に限って…

秋山君に電話をかけてしまったのだろうか。