秋山君は、そのあと、ごめん、とだけポツリと呟いて、方向転換をして帰って行った。 多分、家に帰ったんだと思う。 目元に残る温かさは、紛れもない秋山君の手のひらの体温。 涙で濡れる目元を、制服の袖で拭って、口の端しから零れ出していたキスの証も拭い取る。 視線を自分の家の方へ向けると、手を振り合う二人が見えて、何と無く目をそらす。 「なっちゃーんっ!!」 それなのに、あたしの存在に気付いた怜はこちらに向かって走ってきた。 目を逸らすことすら、許されないのか、あたしは。