お互い傷ついて、それを埋めあって…

これじゃあ美羽に言われた通りだ。

涙を流しながら、お互い違う人を思いながら。

今、キスしてるのは、自分の大好きな人じゃないと、お互い分かりながら、それでもキスをしてる。

これ以上あたしにあの二人を見せないように、とあたしを気遣ってくれ、目元に置かれた秋山君の手は小さく震えていた。

重ねあった唇は、しょっぱくて苦い不器用な味がした。