ゆっくりと離された体は、寂しさをうったえそうになる。 家に帰れば、あたしの気持ちを露ほどにも知らぬ怜が、また鞠さん自慢をしに来るのだろう。 その時間が、大好きだけど大嫌い。 伏せた目は、秋山君の足元をうつしだすだけ。 「おくるよ。」 「え?」 「家まで送る。」 いつもならそんなことを言わない秋山君が言った、"送る"という言葉。 それほどまで、ボロボロになっているのを気づかれてしまっているのか、あたしは。