抱きしめられた体は、あの日無意味だと理解していたはずの心すら溶かしていく。 「っ、」 何も言わず、ただ抱き締められる。 お互い違う人間を思いながら、あたしたちは何をやっているんだろう。 「…夏希。」 5分ほどそうしていると、秋山君があたしの名前を呼んだ。 「ん…?」 返事をゆっくりとすると 「帰ろうか。」 カウントダウンが始まった。 「…ん。」