涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜



ーー次の日



放課後になり、智尋の教室まで迎えに行った。



「…智尋」



昨日と同じように智尋を扉の前から呼ぶと、こちらに気づいてニコリと笑う智尋がいて。

なぜだかそれだけで幸せな気分になる。



「夏希」



カバンをもって、こちらに近づいてくる智尋に笑いながら近付くと、ふわりと香る女物の香水。



…だけどそれは、いつもの女の子たちの甘ったるい匂いなんかじゃなくて。

あたしが嗅いだことのある、あの香りだった。