「…ありがと」



智尋のその優しさにお礼を呟いて、首にぎゅっと捕まった。



「どういたしまして。」



ふんわり優しく笑った智尋は、あたしの足を持つ腕にほんの少し力を入れた。

あたしの家へ向いながら、笑いあった。












私はその幸せに隠れてるあの人のことをすっかり忘れていたんだ。



"彼"を想い続けていた、"彼女"の存在を。