だけどその手は ーーパシンッ。 あっけなく振り払われた。 「え…?」 「触んないで。 本当ごめん。」 振り払われた手は、力無く落ちた。 でも。 だけど。 振り払われた手よりも、何倍も何千倍も… 「れ、」 「ごめん、なっちゃん。」 痛そうな顔をした怜に、あたしは何も出来なくて。 「いつかは押さなきゃいけないって分かってたのに…なんでだろ。」 ギュッと握った拳が視界の隅にうつった。 「すげ…くるし、」