涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜




「…夏希、落ち着きな。
ちゃんと…ちゃんと、聞くから。
だから…ゆっくり、でいいからさ。」


悲しげに微笑んだ美羽は、あたしの頭を撫でた。

あたしが黙っていたことで、どれだけ心配させたのか、やっと理解出来た気がした。

傷つけるつもりは、なかったのに。


「…でも、」


授業は受けよ?と優しく微笑んだ美羽に、小さく笑い返す。

チャイムの音が、スピーカーから流れて、クラスメート達は徐々に席について行く。

それを聞きながら


「ん。」


と、小さく返事を返した。