涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜



「…悪りい。感情的になりすぎた。」



ふっと顔を逸らしながら、そう言う秋山君は、全く納得いってない顔をしていた。



「…俺の名前、呼びたくないんだろ」

「や、それはちがっ!!」

「なんでも、いいよ。
もう、どうだっていい。」



不機嫌そうに告げられた言葉たちに、反論さえ許されない。



ねえ、話を聞いて。

あたし、そんなこと思ってないよ。




「あきや、」

「葉月さん。」




凍ったような気がした。

たった一言。

苗字で呼ばれた、ただそれだけで。