「鞠に幼なじみがいて…。
仲良くて、ヤキモチ妬いて、喧嘩しちゃった…」


やっと話出した怜は、やっぱり目に涙を溜めた。

いつもだったら、そのまま泣き出してしまうのに、泣き出さないということは…。


「怜、おいで。」


ビクッと体を反応させた怜は、首を横に振った。

…そうだよね。


ーー「幼なじみにヤキモチ妬いて」


問題を増やすわけにはいかないもんね。

でも。それでも。


「カノジョが出来たから、無理して怜が変わる必要はないよ。
ほら…」


おいで、と手招きすると号泣し始めた怜の頭を撫でながら、怜はあたしの体に抱きつく。

無理して笑うよりは甘えてもらった方がいい。なんて、あたしの表側では思ってるけど、本当の本当は…

このまま喧嘩して別れちゃえばいいって、思っちゃうんだよ。