「俺、じゃないでしょ。
夏希の好きな人」


あたしの目を見ながら揺らぐことなくそう告げられて。


「え…?」

「いつまではぐらかすの?」

「や…な、に…言ってんの…?」


一度離れたその距離をグンと縮めてきた怜に驚いて後ずさりした。


「ドキドキ、する?」


その行動に、ビックリ、はしたけれど、ドキドキ、はしなくて。

うん、と頷かなければならないはずなのに、頷けなくて。