「ちいくん!!」 ーーバシッ 音がたつほど勢い良く。 振りほどかれた鞠さんの腕。 …え? 「…ぁ、」 か細く零れた秋山くんの声は、今のあたしよりもきっとずっと驚いていた。 「…ごめん、鞠。」 …嬉しくないの? 大好きな、鞠さんだよ? 「あき…「ちいくん。」 咄嗟に秋山君の名前を呼んだ声と、手をつかもうと伸ばした手は、 「ま、り…?」 行き場をなくした。 「おま、」 …二人の唇と唇がその瞬間に重なったから。