涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜




「鞠さん…?」


揺れるその瞳に、私が写ってることが何故だか無性に苛立つ。


「…、なんで。」

「え?」

「なんであなたなの!?」


怜君にも想われて、ちいくんからも特別扱い。

怜君と付き合ったとき、初めはたしかに代わりだった。

ちいくんの、代わりだった。

だけど。


ーー「俺さ、なっちゃんの前では、ずっと猫かぶってんの。
本当の俺出すと嫌われそうで嫌なんだ。」


泣き笑いを浮かべた彼は、多分どっちも彼で。


ーー「…なんで、だろ…
ちいくん、って人に、取られたくないのに、取り返したいのに…っ、」



そんなことをしたら俺の化けの皮が剥がれそう、とそういって泣きそうになってた彼も。


全部全部、怜君自身だった。