「夏希ちゃん…ね。
よろしく。」
「よろしく。
…で、同じ匂いがするってなに?」
直感的には確かにあたしも感じたけれどなぜかは分かっていない。
「長い間幼なじみが好きで、つい最近その幼なじみに恋人ができた…ってこと。」
「え、てことは…」
全く同じタイミングで
全く同じ境遇だなんて
不思議な感覚だ。
「お察しの通り、ってとこ。」
つまりは、失恋したってこと。
それと、なんとなく…
「ねえ、その幼なじみのこと何年好きなの?」
「12年くらい?」
「全く一緒じゃん。」
「その相手ってさ…」
「あー、早いね、気付くの。
夏希ちゃんの思ってる通り。
…俺の幼なじみは篠原鞠【しのはらまり】
夏希ちゃんの幼なじみのカノジョ。」
やはり予想は当たった。

