篠原鞠side 「夏希さん。」 休憩室。 一人で膝を抱えながら涙を流すその人を、少なからず私は綺麗だと思った。 ーー「病人相手に、何やってんだ…あたし。」 それは小さな小さな声。 懸命に聞こうとしないと、きっと聞き取れないほど小さな小さな声。 だけど、 ーー「っ…、」 "好き"…と、本人も気付いてないだろうと感じるほど無意識に出ていたその言葉に私は気付いてしまった。