…怜が泣いているとして、 あたしが怜のもとへいくことで、 怜は泣き止んでくれるのだろうか? ちらりと鞠さんが泣いていたベンチに目をうつす。 平日であるかるか、今日は鞠さんの姿は見えなかった。 そのことに、少し安心した。 小さくため息をつきながら、怜の病室のドアに手をかけようとしたとき、 「…わりぃ。」 部屋の中から、怜の声が聴こえた。 しっかりとしまっていなかったらしい扉から漏れる言葉に体が 固まった。