涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜





「秋山くん。」

「あ、準備出来た?」

「うん。」


そういって、手に持つ荷物を軽くあげ、秋山くんに見せた。


「んじゃ、行くか。」


荷物を持っていない方の手に、秋山くんは指を絡めて手を繋いだ。

鍵をきっちりと締め、怜の入院している病院に向かう間、たわいのない話をしていた。

だけど、何の話をしていたのか、笑っていたのかさえ、全く覚えていない。

あたしの不安を拭うように、いつもより、よく話す秋山くんに助けられながら、病院まできた。