しかも、あの学校は全寮制。

校内に設備が全て整っていると聞いたことがある。

つまり、今朝二人が歩いていたということは…


「朝帰り、かあ…」


それしかない。


「え、ちょ、怜君ってそんな手早いの!?」

「だって全寮制のお嬢様と今朝並んで歩いてたんだよ?
しかも、家の近く。
それしかないよ、朝帰りしか。」


長期休みで実家に帰ってる、とかそんな理由だったら朝帰りなんかじゃないけど、残念ながら今は秋。

長期休みのない…秋、だ。


「怜も男の子なんだなあ…」

「親目線で話さない、そこ。」


真っ正面から受け止めたら、あたしはきっと大号泣してしまう。

今だって、ズキズキする胸を抑えて話しているのに。

だから、適当に笑ってごまかして…


「だって、怜だよ?
甘えた幼なじみ、だよ?」


親目線というなの逃げ道を勝手に作って進むんだ。


「まー、中3にもなって、女の幼なじみの膝の上で半泣きな男は怜君ぐらいだろうけど。」

「それな。」