手術室の中から出てきた医師が口を開いた。 「頭を強く打っていて、時間が掛かってしまいました。 今夜がヤマです。」 …とテレビや小説などでしか聞いたことのない言葉を聞いた。 私はその言葉をボンヤリと頭の中で反復し、ヨロヨロと理玖くんが運ばれた集中治療室へ向かった。 ガラス張りの病室の外から、理玖くんを眺めた。 一生分涙を流したというくらい泣いたのに、再び…涙が流れ出す…。