下を向いた葵さんの顔から、ポタッポタッと雫が零れ落ちた。
「ずっとずっと理玖の事…忘れられなかったわ。
理玖が私を初めて抱いた時、涙を流したあの顔をずっと……。
だから理玖が結婚したって聞いた時も、今までの事を思うと、信じられなくて、居てもたってもいられなくて見に行った。
幸せそうに笑う陽菜さんを見ていたら、許せなくて…思わず昔の事を口走っていたの。
本当にごめんなさい。」
ずっと顔を下にさげたまま、謝り続ける葵さんに、
「顔を上げてください。」
と私は声を掛けずには居られなかった。
顔を上げた葵さんの顔を見ると、キレイな顔がグシャグシャになり、本当に後悔しているんだという事が、手に取るように分かる。

