慌てて顔を上げると、そこには……。


「これは俺の役目。」


そう言って、ソイツはニヤリと笑った。



「…………先輩。」


陽菜も自分の状況を理解したのか、先輩の方を向き、恐る恐る先輩の顔を覗き込む。そして


「理玖くんっっ!!」


と言って、先輩の首に腕を回した。


その陽菜の顔を見て、俺は悟ったんだ。



こんなに涙でグチャグチャな顔をしてても、先輩の腕の中に居る陽菜の顔は何処か幸せそうで、

安心した顔をしていた。



やっぱ俺……敵わね~な…。



俺は陽菜にこんな顔させることは出来ない。


俺が茫然と二人を眺めていると、先輩は陽菜に優しい声で言った。



「陽菜…待たせてゴメン。

迎えに来たよ。」