それから一ヶ月が経過した。

猪瀬とのタッグマッチを皮切りに、大谷は数々の試合をこなして経験を重ね、着実にトップレスラーへの階段を上っていく。

フィニッシュムーブであるドラゴンスープレックスも使用頻度に比例して洗練され、次第に必殺技と呼ぶに相応しい完成度になっていく。

エース級のレスラー相手には黒星を喫する事もあるものの、若手相手ならば盤石な試合内容を見せ、『ニュージャパンの次期エース候補に大谷あり』と言われるまでに成長。

一年先輩のレスラー、桜庭 和人と鎬を削りつつ、誰もが認める若手選手として、頭角を現していた。