「大谷」

道場でウエイトトレーニングをしていた大谷のもとに、藤原がやって来た。

「お前のデビュー戦が決まったぞ」

「…………えっ…?」

大谷は狐に摘ままれたような顔をして、藤原を見る。

「何すっ呆けた顔してやがんだ馬鹿野郎」

ペシッと大谷の頬を張る藤原。

「来週の地方興行の第一試合で、お前の試合が組まれる。コスチュームももう発注しといたからな」

「え、な、は…え?」

あまりに突然。

大谷は狼狽して、まともに言葉も口に出来ない。