試合開始早々、堪らず場外へと転がり出る藤原。

猪瀬は追う事なく、リング中央に立つ。

「来い藤原コラァッ!」

挑発する猪瀬に、観客は大歓声。

長年ニュージャパンの試合を見ているファンは知っている。

猪瀬と藤原は同時期に入門した選手。

道場での練習中などは社長と選手としての体裁を保っているが、藤原は試合中のエキサイトしている間は、敵愾心剥き出しで猪瀬に接する。

手段は選ばない。

そんな試合運びから、藤原は『昭和のテロリスト』という異名を持っていた。

リングで待つ猪瀬を睨みつつ、再びリング上に上がる藤原。

両者は中央で対峙し。

「おぉぉぉぉぉりゃあっ!」

ガッチリとロックアップ(組み合う事)する!