一回戦第四試合、蝶野 正春VS三沢 光秀。

この試合に先駆け、リングにはある仕掛けが施された。

四方を金網で囲み、更に天井が設置された。

リングはまるで監獄のようになり、赤コーナーと青コーナーにある出入口以外からは、場外に出る事すらできなくなった。

この金網は『ヘル・イン・ア・セル』と呼ばれる。

ミスター・ロックが所属しているアメリカのプロレス団体で行われている試合形式の一つ。

通常のケージ・マッチ(金網デスマッチ)で使用されるケージに天井が設置されているのが大きな特徴である。

両コーナー側にある出入口を施錠されると完全に出られなくなり、完全に決着がつくまでは、この中からは出られない。

そのヘル・イン・ア・セルの中に逸早く入ったのは蝶野。

彼はマイクで呼びかける。

「三沢!今回は趣向を凝らして、この中でてめぇにトドメを刺してやる!てめぇにこの中に入る度胸があんのか、えぇコラ!」