流石にこの平手打ちには、桜庭もカッとなる。

まるで侮辱されているような攻撃。

桜庭は素早くブリッジして、上に乗っている猪瀬の体を跳ね除けてマウントポジションから脱出。

同時に猪瀬の片足をとって、アキレス腱固めに移行する!

片足を腕で抱え、手首の骨の固い部分を相手のアキレス腱に垂直に当てるようにして、体ごと反り返るように極める。

総合格闘技において、関節技、寝技といったグラウンドテクニックは必須。

桜庭もまた、グラウンドに関しては藤原並みの技量を持っていた。

猪瀬の足を捻じり上げ、ギブアップを強いる!

しかし猪瀬はアキレス腱固めをかけられたまま、尚も桜庭の頬を張る!

『お前みたいな若手が、俺からギブアップをとれるものか』

そう言わんばかりの挑発的な攻撃。

桜庭の怒りに油を注ぐ行動だ。

桜庭は、再び猪瀬が平手打ちを仕掛けてきた瞬間に。

「!?」

自らアキレス腱固めを解除して猪瀬の腕を摑み、今度は三角絞めへと移行する!