一回戦第三試合、猪瀬 寛至vs桜庭 和人。

大谷や三沢の台頭であまり目立たないが、桜庭もまた、ニュージャパンプロレスで次期エース候補に数えられるレスラーだった。

ニュージャパンに所属するレスラーが頂点を目指すなら、必ず立ちはだかる巨大な壁、猪瀬にどう立ち向かうか。

「ファイッ!」

レフェリーの合図でゴングが鳴る。

試合開始だ。

まずは相手の出方を窺うようにリング中央で睨み合う両者。

そこから桜庭が、軽くローキックを出して牽制する。

桜庭はニュージャパン所属とはいえ、総合格闘技系のファイトスタイル。

ストロングスタイルの猪瀬とは、対極に位置する選手だった。