技を仕掛ける大谷に、技を耐える武藤に、それぞれ大声援が送られる。

武藤の膝は、既に可動域を遥かに超えてしまうほどに捻じ曲げられていた。

もう膝は折れているのではないかとさえ思える。

根性だとか、気合だとか、そういう精神論で耐えられるレベルの極まり具合ではない。

あんなに捻じ曲げられてしまったら、膝が完全に破壊されてしまうのではないか。

日常生活に支障を来たすほどに壊されてしまうのではないか。

それでも武藤はギブアップを口にしない。

発狂しそうなほどの痛みに耐え続け。

「っっっっっっっ!」

立ち上がったレフェリーが、大きく両手を振った。

同時に鳴らされるゴング。