プロレスに限らず、格闘技の道場というのは例外なく暑い。

スレート造りの、正直粗末な建物内に、リングやサンドバッグ、ウエイトトレーニング用の器具などが所狭しと置かれている。

そんな道場内で、大谷を含むテスト生が横一列に並ぶ。

全部で8名。

皆、年齢は20代前半。

柔道やレスリングの経験者ばかりで、ゴツイ印象を受けた。

そんなテスト生の前に、スーツ姿の紳士が立つ。

この男を知らぬ者は、プロレスの世界にはいない。

プロレス界のカリスマだ。

ニュージャパンプロレスリング株式会社の現社長、猪瀬 寛至(いのせ かんじ)。

このニュージャパンプロレスリングの現ヘビー級王者でもあり、団体のトップエースでもあった。