「相変わらずすげぇ威力だな、お前のエルボーは」

背後で声がする。

振り返ると、武藤が立っていた。

「練習に精が出るじゃないか、三沢。ニュージャパンとの対抗戦を見据えてか?」

「……」

特に答える事もなく、三沢はサンドバッグを打ち続ける。

三沢は自己主張を強く行わない性格の為、『口の重い虎』と呼ばれる事もある。

そんな三沢を、武藤はよく理解してやっていた。